パーキンソン病についての紹介ページです。

 

パーキンソン病の方へ

アスリート

パーキンソン病は、神経伝達物質の一つであるドパミンを分泌する神経細胞に変性が起こり、ドパミンの低下により全身性に特徴的な症状が進行する難病指定の疾病です。安静時振戦や筋肉の固縮、無動・寡動、姿勢反射障害といった代表的な症状に加え、様々な身体機能の異常や自律神経の異常、認知機能異常、感覚異常など、生活に支障を来す様々な症状が現れることもあります。

これまでは投薬治療が主な治療法でしたが、昨年よりiPS細胞を使ったパーキンソン病の臨床治験も開始されています。これは、iPS細胞に由来するドパミン神経前駆細胞を、定位脳手術によりパーキンソン病患者さんの脳の線条体に移植するというもので、その効果と安全性が注目されています。

タンパク質ミスフォールディング病としてのパーキンソン病

パーキンソン病の原因として遺伝因子、環境因子がいくつか挙がっていますが、α-シヌクレインというタンパク質のミスフィールディングによる変異が関係しているという報告があります。タンパク質の合成・分解過程の中で、あるものはシャペロンネットワークによりフォールディング(折り畳み)されて正しいタンパク質になり、またミスフォールディングを起こしたものはプロテアソーム・リソソームにより分解されますが、このシステムが破綻するとミスフォールディングが蓄積し、細胞の変性を起こすきっかけとなります。

パーキンソン病ではそれがドパミン作動性経路の調節に関与するα-シヌクレインと呼ばれるタンパク質であり、家族性パーキンソン病の原因としても同定されています。

ここでタンパク質を正しいフォールディングや適正な分解に導いてくれるのがシャペロンですが、その中の一つに温度変化によって発現する転写因子である熱ショック因子(HSF)があります。人のHSFには、1、4、2、3の4種類があり、HSF1はミスフォールディングを感知するといわれます。HSF1は熱ストレスによって活性化し、熱ショックタンパク質(HSP)を合成してストレスによるタンパク変性を防ぎ、細胞を守ってくれます。

PGC-1αとミトコンドリア

パーキンソン病の患者さんではミトコンドリアの生合成と機能促進に関わる転写共役活性化因子(PGC-1α)の発現が低いことが知られており、全身性にミトコンドリアの活性が低下傾向にあります。このPGC-1αの遺伝子領域に上記の熱応答性HSF1が結合することで、PGC-1αの発現が促進することもまた知られており、温熱刺激によるHSF1の影響がPGC-1αを介してミトコンドリアによるエネルギー代謝にも関係していることがわかります。

皮膚抵抗値測定システムによる生体インピーダンスの変化

細胞電位を指標として細胞機能の低下や亢進のレベルを測定したところ、生理学的に最適な状 態の健常成人では全身がほぼ緑色の最適状態でしたが、パーキンソン病患者では全身性に機能低 下を示す濃青色を呈しました。温熱治療1回終了後には主に上半身に活性化を示し、さらに週2回のペースで1カ月間、温熱治療を行ったところ、8回目では加温前から脳を中心とした活性化状態 がみられ、これに相関するように症状の軽減を認めました。

自律神経均衡度の変化

体温連動型全身温熱療法の活かし方

パーキンソン病の患者さんが転倒による怪我から蜂窩織炎を起こし、39℃を超える発熱が3日間続いた末ようやく炎症が治まった頃、パーキンソン病の症状も著しく改善していたという経験から、熱が進行の遅延に役立つであろうことは一部の患者さんの間でも知られていました。

発熱を再現する体温連動型全身温熱療法では、体温上昇による平熱からの温度変化によってHSF1を活性化し、神経細胞内タンパク質のミスフォールディングをサポートするとともに、PGC-1αの発現を促進することでミトコンドリアを活性化し、細胞の疲弊や変性を軽減することが期待されます。また、体温上昇による末梢循環の亢進は、酸素の運搬能力を高め、ミトコンドリアにおける好気的エネルギー産生を活性化すると考えられます。

日常生活でHSF1の発現を上げる手段として、入浴、サウナ、運動などが勧められていますが、サウナは深部の体温が上がりにくく、運動は病気の進行度によっては困難なケースもあります。HSPの誘導には出発点の温度からの温度差が必要であるため、これらの中では入浴が最も効率的な体温上昇手段になりますが、特にパーキンソン病の患者さんではふだんの末梢組織血流量が低い方が多いため、家庭入浴で無理をして体温を上げようとせず、医療機関において安全性を確保した上での加温体験をお勧めいたします。