花粉症についての紹介ページです。

 

花粉症の方へ

花粉症

花粉症はアレルギーの一つです

花粉症の原因植物としてはスギ(ヒノキ科スギ亜科スギ属)がもっとも有名です。スギの雄花は米粒大ですが、1つの雄花は30ミクロンほどの花粉を何十万個も抱え、例年2月中旬から3月末にかけて各地で飛散して、特に受験や新しい生活の準備で集中したい大切な時期にその生活の質を落とします。スギから約1カ月遅れてヒノキが花粉を飛ばし始め、5月から初夏にかけてはイネ科のカモガヤ、夏から秋にかけてはキク科のブタクサ、やや遅れてヨモギと、植物が休眠中の真冬を除いて1年のうちの長い期間、花粉症は私たちを悩ませます。

私たちの体は、何度も同じ花粉に暴露されているうちに、免疫細胞がその花粉を抗原(アレルゲン)と認識して花粉に対する抗体を作るようになります。この時作られる抗体がイムノグロブリンE(IgE)と呼ばれ、粘膜をはじめとするあらゆる組織に存在する肥満細胞(免疫細胞の1種)の表面に結合して、次にまた花粉が入ってくると花粉の中のアレルゲン部位と細胞表面のIgEが結合し、それが刺激となって肥満細胞はヒスタミンやロイコトリエンなどの炎症性物質を分泌し、周囲に炎症を起こします。

花粉症の罹患率は年々増加し、成人では半数以上の方が何らかの症状、即ち、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目の痒み、のどの腫れや痒み、気管支症状などを訴え、これらの症状により睡眠障害を起こし、中には食欲不振、消化不良など消化器症状が現れる方もみられます。

花粉症の症状を抑える薬物治療

花粉症の罹患率が増すにしたがって抗アレルギー薬の開発も進化してきました。
効果が現れるまでにやや時間はかかるものの持続性の高い最近のヒスタミンH1受容体拮抗薬は、好中球や好酸球からのロイコトリエンの産生を抑制したり、好塩基球や肥満細胞からのヒスタミンの遊離や細胞自体の遊走を抑えるなどして症状を緩和します。

効果はマイルドですが眠気などの副作用が少ない経口ケミカルメディエーター遊離抑制薬は、好酸球や気道平滑筋のホスホジエステラーゼ活性を阻害して細胞内のシグナル伝達を抑えることで気道過敏性を調節します。

その他に、気道過敏性や気道収縮を抑えて気管支喘息を緩和するトロンボキサンチンA2阻害薬やロイコトリエンLT受容体拮抗薬、ヘルパーT2細胞からのインターロイキン(IL)-4やIL-5の産生抑制により炎症の増悪に関わる好酸球の浸潤を抑えたり、IgE抗体の産生を抑えたりするT2サイトカイン阻害薬などが、重症度に応じて使い分けられています。
また、これらの抗アレルギー薬と同時にステロイド薬もしばしば使われます。

副作用が比較的現れにくい市販薬も出てきましたが、上記のような薬物療法はあくまで対症療法なのでアレルギーが根本的に治癒することはなく、アレルゲンに暴露されるシーズンは薬が手放せません。

アレルゲン特異的舌下免疫療法

近年、スギ花粉症やダニに対する通年性アレルギー性鼻炎に対して、アレルゲンとなる物質を計画的に体内に取り入れることで体質を変え、根本的な治癒を目指す治療法として、アレルゲン特異的免疫療法が行われています。舌下から吸収されたアレルゲンを口腔粘膜の樹状細胞が貪食すると、免疫反応を調整する制御性T細胞が誘導され、炎症反応を抑制に導きます。また、ヘルパーT細胞の分化過程でサイトカインの分泌に影響を与え、アレルギーに関与するTh2への分化を抑制してTh1への分化を誘導し、さらにB細胞においてはIgE抗体の産生を抑制するなど、アレルギー反応を起こしにくい体作りが期待されています。

ただし、舌下免疫療法の治療期間は3~5年の継続が推奨されており、即効性は期待できないため、治療初期には薬物療法を併用することになります。治療期間終了後、7~8年間は症状が抑制されるという報告もあります。

※参考文献:スギ花粉症におけるアレルゲン免疫療法の手引き(一般社団法人 日本アレルギー学会)

体温連動型 全身温熱療法の活かし方

ナイーブなヘルパーT細胞がTh1あるいはTh2のいずれかに分化する際、温熱療法がその分化をアレルギーに関与するTh2でなく、腫瘍免疫に関与するTh1へ誘導することは、がん患者さんの症例により以前から知られていました。また、好酸球増多を示し強い炎症反応がある患者さんにおいて、発熱範囲の温熱療法を継続することで好酸球が基準範囲に低下した経験から、IL-4やIL-5などの調節が熱の作用として関わっているであろうことが推測されていました。

一方、全身加温の刺激によって一過性に上昇する副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)は下垂体前葉から分泌されるホルモンの1つで、ACTHの分泌は副腎皮質からのコルチゾールの分泌を促します。コルチゾールは体の恒常性維持になくてはならない抗ストレスホルモンで、糖や脂質、タンパク質の代謝に関わるとともに、抗炎症作用を持つ体内ステロイドです。ACTHによって分泌されるコルチゾールは温度の影響を受けること、その分泌量は39℃以上で最高値を示すことも報告されており、発熱範囲の全身温熱療法によって一過性に増加した体内ステロイドが、花粉症に関連する炎症反応を鎮静化し、様々な症状を緩和することが期待されます。

全身温熱療法によるACTHとコルチゾールの変化