冷え性についての紹介ページです。

 

冷え性の方へ

つらい冷え性と正しい知識で向き合う

生命維持の基本は体温

私たち人間をはじめとする恒温動物は、内温動物とも呼ばれます。
内温動物とは、内側からの熱を利用する動物、代謝によって自ら作り出したエネルギーを熱として操る動物のことです。

恒温動物は、体内の温度をそれぞれの動物種によって一定の温度帯に保つため、自ら熱産生を行っています。電気のコンセントに繋がれているわけでもないのに、動物は自分で化学反応を進行させ、その過程で熱を生み出し、周りの環境に応じて産熱と放熱をうまくコントロールしながら常に体温を一定温度範囲に保とうとしています。

この一定の体温を保つ仕組みが根底にあって、細胞を支える血液の流れが維持され、エネルギー代謝や浸透圧、酸化還元システム、血液や体液のpH、血糖値といったパラメータを限られた基準範囲に収め、自律神経系、内分泌系、免疫系を調整し、それによって与えられた寿命の範囲で健康的な生命活動を営んでいるのです。

ここで改めて、恒温動物とは…

外気温の変化に左右されず、ある一定範囲の体温を保つ能力を備えた動物です。哺乳類や鳥類がこれにあたります。
一方、外気温の変化に応じて体温が変化する動物は変温動物と呼ばれ、爬虫類や両生類、魚類のような脊椎動物の他、すべての無脊椎動物がこれに含まれます。

但し、哺乳類の中でも外気温の変化によって深部体温を変化させる動物がいます。
それは、“冬眠”する動物です。
体温以下の外気温の中で高い体温を維持しながら活動するには、多くのエネルギーを必要としますが、冬場はエネルギー源となる餌が不足します。
リスやハムスター、そしてクマのように寒冷環境で冬眠を行う動物は、エネルギーを節約するために代謝を落として深部体温を大幅に下げ、眠って過ごすことで餌のない冬場の生命をつなぐといわれます。

こういった冬眠可能な哺乳類はある意味変温動物ですが、あくまで体内で熱を生み出す内温動物であり、主に外部からのエネルギー提供により体温を調節する外温動物とは区別されます。

活動時には体温を上げる

爬虫類のような外温動物(一般的にいうところの変温動物)では、自ら生み出す熱エネルギーの量が限られるため通常低体温ですが、体温が低いと活動能力が下がってスローな状態になり、動く餌を獲ったり素早く敵から逃げたりすることができなくなってしまいます。
そこで、太陽の光を浴びてエネルギーを充電し、体温を37度前後まで上げて運動エネルギーを確保するわけです。

恒温動物であるヒトの深部体温にも『概日リズム』があります。夜間は深部体温を低く抑えて休息し、日中は深部体温を高く保って活動に備えます。37℃を中心としてその体温差は約1℃です。

活動すべき時間帯でも体温が低いままだと、体の動き、臓器の動き、そして細胞の動きが鈍るため、会社に行っても仕事にならない、ご飯を食べても消化吸収できない、ウイルスが侵入しても免疫が働かない、といったことに繋がってしまいます。

恒温動物も変温動物も、活動時にはどちらも37度以上の体温が必要です。
そして、病気を闘う時、敵に立ち向かう時には、さらなる熱が必要ということになります。
これが発熱です。

現代人に蔓延する冷え

60年前の報告によると、健常な日本人の腋窩温の平均値は、午後1~4時、安静時に30分間体温計を腋窩に挿入して測定した場合、36.9±0.3℃の範囲にはいる人が73%でしたが、ここ数年の間にほぼ同様の条件で測定してみますと、平均腋窩温はそれを下回り、平均36.44±0.46℃という結果も出ています(サーモセルクリニック調べ)。
ところが腋窩温が35℃台の方でも、直腸温を測定してみると37℃以上に維持されていることに驚きます(平均直腸温37.54±0.41℃)。さらに、手足が氷のように冷たく、夏でも夜は靴下をはかないと眠れないという方に限って、直腸温が38℃以上あることも珍しくありません。
核心部の体温は維持されているのに他の様々な部位が常に冷えている状態は、血流の低下によって熱が体全体にうまく分配できていないことを示唆します。現代人の体は様々な理由で、体温調節が難しい体になっているようです。

冷えのタイプ

冷えのタイプについては一概にあなたはこのタイプ、と言い切れるものではありませんが、実際に外殻温と核心温を測定してみると、特徴的ないくつかのタイプがあることがわかりました。

乙女型:やせ気味、貧血気味、便秘しやすい、顔色が悪い、寝付きが悪い、汗をかかない

乙女型
冷えが特に手足の先に集中する先っちょ冷えタイプです。
若い女性に多くみられるタイプで、食が細く、筋肉量が少なく、貧血気味で痩せ形、汗をかかず、夜も寝つきが悪く、青白い顔で儚げな乙女のイメージから、“乙女型”と呼んでいます。
若い女性の場合は月経があるためどうしても貧血になりがちで、赤血球の数そのものや酸素を運ぶ血色素の量が少ないと、エネルギーの材料である酸素がうまく組織に届けられず、ミトコンドリアの活性が低下し、十分な熱を産生することができません。主要な内臓など深部の体温だけは保とうとして、末梢の血管が熱を逃がさないように収縮した状態にあり、手足の先っちょに強く冷えを感じます。
末梢の血管が収縮し続けてなかなか拡がらない状態になると、滅多に汗もかけなくなり、熱が内側にこもり、手足は氷のように冷たいのに直腸温が38℃を超える、といった現象が起こります。

日本人の女性はもともと痩せているとよく言われますが、痩せて筋肉の少ない人は熱を作る力が弱く、さらに皮下脂肪も少ない人は熱を溜める力も弱くなります。
若い人はさらにダイエットの影響で炭水化物やタンパク質、脂質が不足していることも多く、食事を消化吸収する時に発生する熱も少ないため、ますます血管は収縮する傾向にあります。
まずは今の自分にどんな栄養素が不足しているかを知り、今の自分に合った食事で筋肉と少しの脂肪をつけるのがよさそうです。

冷えた手先や足先だけを温めても一瞬でまた冷えてしまいますので、おすすめは全身浴です。
ただし、しっかり顎までお風呂に入っても全く汗が出てこない人では、陶板浴や溶岩浴のような遠赤外線を使った温めで末梢の血管を開く練習をしてから全身入浴に移行した方が効率的です。
乙女型の冷えには、熱を作り、それを保温する体作りが必要です。

熟女型:むくみやすい、生理不順、眠りが浅い、顔がテカる、お尻がこる、夜トイレが近い

熟女型
下半身に冷えが集中して上半身に冷えを感じることはないのですが、上半身は“冷えがない”というよりも“不快に蒸し暑い”といった方がいいかもしれない状態です。
熟年女性に多くみられるタイプで、症状も更年期障害と一部重複します。
上半身は火照って顔や胸、背中に汗をかきやすい一方、下半身は冷えてむくみを生じやすくなります。運動不足で年中イライラしやすく、夜間頻尿があることも多く、“熟女タイプ”と呼んでいます。
下半身に冷えが集中するということは、足の血流が悪い、ということになりますが、その原因の一つは加齢や運動不足による臀部(お尻)の筋肉の硬化であるといわれます。 臀部の筋肉が凝り固まってしまうことにより、下半身を走る坐骨神経、坐骨神経に併走する交感神経が必要以上に刺激され、下半身だけ血管が収縮した状態が続くと、エネルギーが作られても足先まで血液を運べないため、全身にうまく熱を運ぶことができず、上半身に余分な熱がこもることになります。
運動不足や加齢はお尻の筋肉だけでなく、ふくらはぎの筋肉にも影響し、心臓へ血液を押し戻す力が弱まったり、また血液の逆流を防止する静脈弁の働きが落ちたりすると、静脈血を心臓へ戻しにくくなり、老廃物を含んだまま下の方にうっ滞した血液が組織に滲みだしてむくみが起こり、ますます血行が悪くなって痛みを伴った冷えを生ずる、という悪循環に陥ってしまいます。

足や下半身に冷えを自覚する人は半身浴をしたがりますが、おすすめはやはり全身をまんべんなく温めることです。
冷え切った部分の血管を拡げてやるためには、ある程度深部体温を上げる必要があります。
半身浴ではお湯に浸かった下半身で温められた血液が、その熱を逃がそうとして上半身へ流れ、上半身は汗をかくことで放熱します。
発汗が多いのでものすごく温まった気にさせられますが、直腸温(=深部体温)を測るとほとんど上がっていないのが実情です。

体に入る熱=発汗によって出ていく熱
というのが半身浴

体に入る熱>発汗によって出ていく熱
という状態にするのが全身浴

ですが、半身浴が無意味というわけでは決してありません。
目的に応じて使い分けをしましょう。
半身浴は心臓への負担が少ないので、家庭で行う手段としては安全で、30分から人によっては1時間でも入っていられる、それがゆったりとした気分にさせてくれます。

熟女型の冷えには、作られた熱を全身に運ぶために血管を拡げて血液が通る道筋をつけてやることが大事です。
ただし、足の筋肉が薄っぺらで、足囲がCとかDの人は、何をどうしても外気温が下がれば足先も冷えます。

野郎型:太りやすい、汗をかきやすい、お腹が冷たい、風邪を引きやすい、便秘や下痢をしやすい、顔がテカる

野郎型
『手が冷たい人は心が温かい』といわれます。
手が氷のように冷たい“乙女型冷え性”の人では、手足の血管が収縮して内側に熱がこもり、深部体温は38℃を超える人もいたりしますので『手が冷たい人は心(芯)が温かい…熱がこもりますので…』ということは確かに言えそうです。

では逆に、『手が温かい人は心が冷たい』はどうでしょう。
世の中には年がら年中手足が温かく、全身に汗をかきやすくて、一見とても健康そうにみえるのに、すぐ風邪をひいたり、何かというとアレルギーを起こしたりする人がいます。

一般的に寒冷環境では交感神経が適度に働いて末梢の血管を収縮させ、熱を逃がさないようにするのですが、真冬の戸外でも手が温かいタイプの人では交感神経の活性度が下がり、寒い状況でも血管が収縮しないため、拡張した末梢の血管から熱が逃げるのだといわれます。

血管が開きっぱなしの手は温かい一方、体の芯は冷えている…
つまり、『手が温かい人は心が冷たい』といえます。

冬でも手の血行がいいのであかぎれもせず、冷たい水を使って素手で洗い物をするなどへっちゃらで、手袋も必要なし、ただし、手の冷たい人とうっかり手を繋いで熱を奪われたりします。

熱が逃げやすいので、免疫細胞が集中する腸は逆に冷えて免疫能が衰えるため、感染症やアレルギーに弱くなります。
便秘の人も多いかもしれません。

これまでこういうタイプはぽちゃっとした色白の女性に多いと言われてきたようですが、太り気味で暑がりの男性にも多くみられることから“野郎型”と呼んでいます。

野郎型冷え性の人は、環境の変化に応じて交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズにいくようなトレーニングをしましょう。
それにはやはり全身浴です。

深部体温をしっかり上げるような全身浴を週に1~2回ペースで繰り返すことで、自律神経機能の指標であるトータルパワーが上がってくる例も多く、試してみる価値はあります。

また、お腹が冷えているので腹巻をする、というのももちろんいいのですが、寒冷環境では、首や手首、足首のような太めの血管が外界に近いところにあるあらゆる“首”を保温して、熱が出ていかないようにするのもよいかと思います。

外温動物型:太りやすい、局部的に汗をかく、風邪を引きやすい、アレルギーがある、乾燥肌、昼夜逆転型

外温動物型
深刻な冷えに悩む方の中には、体のどこかの部位に偏って冷えがあるというのでなく、体の末端も表面も内臓も全身性に体温が低く、体じゅう冷え切ったタイプの人がいます。

家に閉じこもりがちで体を動かすことがなく、カップラーメンやスナック菓子ばかりで栄養不足、お風呂に浸かることなくシャワーを降りかけるだけ、夜更かしして日の出とともに寝る昼夜逆転の夜行性。

栄養不足で貧血があり、運動不足で血流が滞り、体に酸素が運ばれにくいため臓器の働きが弱り、特に脳に酸素が届かないと、気力が失せてますます体が動かなくなってしまいます。

熱をつくることもできないし、熱をうまく運ぶこともできないし、逃げていく熱さえない…
という状態でしょうか。
行きつく先は外温動物(≒変温動物)です。
全身性に体温が低ければ、筋肉も脳も肝臓もその他もろもろ、活動が大幅に制限されてしまいます。
いざ何か活動しようとしたとき、特に病気はないのに体が冷え切って動かず、外から熱エネルギーをもらって体を温めないと、自分の力だけでは外出もままならない人もいます。

まずは朝起きて、ガラス越しでもいいので太陽の光を浴びるのがよさそうです。
白っぽい服で太陽光を反射したりせず、黒っぽい服を着て太陽に効率よく温めてもらいましょう。

そして例えば、太陽を浴びてやる気が出てきて全身浴でしっかり体温を上げたいと思ったとしても、外温動物生活が長かった方では皮膚表面の血管の開きが鈍って汗が出にくいため、慣れないうちの全身浴は熱ごもりになって熱中症を引き起こしてしまうリスクも考えられますので、まずは皮膚表面の血管を優しく広げることから始めるのが無難です。

陶板浴のような遠赤外線の柔らかい温め方法で無理なく汗が出るようになってきたら、全身温浴で深部までしっかり温める、という具合に段階を踏んで温めましょう。

温浴による冷えの解消

全身温浴を繰り返すことで、血流が改善し、体全体のエネルギー産生が向上して、平熱時の体温が上がって冷えが解消される例が多くみられます。

図1:深刻な冷え症を訴える女性19名を対象に、家庭入浴における温浴指導後、舌下温を毎日起床時と就寝時の2回測定し、pre(温浴前4日間の観察期間)、1mpt(1カ月後)、2mpt(2カ月後)、および3mpt(3カ月後)の各平均値を比較したところ、起床時、就寝時いずれの体温も3カ月後で有意に上昇しま した。

図2:冷え性スコアは寺澤変法を参考に24の質問項目で構成され、冷えの種類や状況を評価するもので、点数が高いほど冷えが深刻であることを示します。VASスケールは冷えの自覚の程度を示します。いずれの冷え指標においても冷えは改善しています。

体温連動型全身温熱療法の活かし方

冷え性といっても様々なタイプがあり、さらに上記のタイプ分け以外にも混合型が存在し、その原因は多岐に及びます。貧血などの血液学的異常や栄養学的な問題を探るのと並行して、通常知ることのできないご自分の深部体温を測定し、平熱時の熱の偏りがどこにあるかを把握し、体を温めた時に深部体温がどのような上昇をするか確認したうえで、それぞれに合わせた温浴の種類や頻度を選択します。

体温連動型の全身温熱療法は、お一人おひとりに合わせて体温の上げ方も自動的に変わるため、どのような冷え性タイプの方でもお試し頂くことができます。

ご自分の冷えの元がどこにあるか、そしてその冷えを解消するのにどのような温水の種類を使って、どのくらいの湯温で、何分入浴したらよいか、、、ご自身のデータに基づいて最適な温浴プログラムを提供するのも、体温連動型全身温熱療法の役割です。