第86回 日本温泉気候物理医学会学術集会の紹介ページです。学会活動コラムを掲載しています。

 

更新日:2021.06.21

第86回 日本温泉気候物理医学会学術集会

2021年5月22-23日、第86回 日本温泉気候物理医学会抗学会総会がWEB開催されました。

今回の学術集会のテーマは『IT時代の温泉医学』

医療現場でもIT技術が実用化され始め、AIによる画像認識技術を使った皮膚がんや大腸がんの鑑別、眼底画像からの性別や年齢、HbA1cの推定など、AI診断が注目を浴びています。
また画像認識のみならず、唾液中に分泌される特定の代謝物質のパターンからがんリスクを予測するがんリスク検査の解析にもAIが導入されています。当院でも導入している唾液中がんリスク検査(サリバチェッカー)は、わずか0.1ccの唾液から5種類のがん(膵臓がん、肺がん、大腸がん、乳がん、口腔がん)のリスクを予測するスクリーニング検査です。

伝統療法である温泉療法にも、IT技術を組み合わせて温故知新を計る試みが行われています。その日の表皮温と深部体温の差や自律神経を反映するパラメータ、筋肉と脂肪の割合等のデータの組み合わせで、最適な温浴の温度や時間、泉質を導き出し、それを医療機関だけでなく、温泉施設や家庭でも手軽に実践できると、ただの温浴が非常に有効な健康増進手段になり得ます。
そんな中で、温浴中の深部体温をいかに正確にいかに簡便に測定するかは以前からの課題であり、当院では深部体温の指標として直腸プローブを用いて直腸温を測定しています。しかし場合によっては直腸温が測定できないこともあるため、これまで侵襲性のない数種類のパッチ型深部体温計について直腸温との比較実験を重ねてきましたが、いまだ直腸温計以上に安定的に深部体温を反映するパッチ型体温計は見つかっていません。
厳密な絶対値が必要ない場合には、ウェアラブル体温計で体温変動を読み取ることにも十分意味はあると思いますが、汗にも負けず、環境温度にも惑わされず、正確に深部の温度を反映するパッチ型体温計の開発が待たれます。