第20回 日本抗加齢医学会総会の紹介ページです。学会活動コラムを掲載しています。

 

更新日:2020.10.26

第20回 日本抗加齢医学会総会

新型コロナの影響で6月から延期になっていた第20回 日本抗加齢医学会総会が、2020年9月25-27日、オンラインと一部浜松町の会場とで開催され、サーモセルクリニック院長の斎藤糧三医師と研究開発担当の奴久妻智代子が発表しました。

演題:全身温熱療法ががん患者の心拍変動に及ぼす影響

自律神経系は、体温調節や代謝系、消化器系、呼吸器系、循環器系など、生体内のあらゆる活動を制御するため、自律神経系の活動度が低下すると全身性に様々な不調を引き起こします。したがって、自律神経活動を評価することは、生命活動の現状把握やがんをはじめとする疾患の予後予測の一助となり、実際がん患者さんでは同年代の健常人と比べて自律神経機能が低値を示すことが報告されています。

一方、がん補完治療の選択肢でもある全身温熱療法の非特異的変調作用の一つに、自律神経機能の調整作用があることは古くから知られていました。

本研究では、自律神経機能を推定・評価する手段として5分間の短時間心拍変動(Heart Rate Variability; HRV)を用い、週に1回のペースで10回の全身温熱療法を反復したとき、その前後で自律神経機能がどのように変化するかを、男性患者さんのグループに焦点を当てて評価しました。

その結果、男性患者さんのグループでは、ヤング層、ミドル層、シニア層のいずれの年代においても、自律神経機能全体を示すTP(トータルパワー)の数値が上昇する傾向を認めました。 TPの内訳では、交感神経活動の変化に比べて副交感神経活動を反映するパラメータの上昇が顕著であり、迷走神経の相対的な活性化に伴って、白血球中に占めるリンパ球の割合が上昇する傾向もみられました。

がん患者さんでは自律神経機能の低下が免疫能やメンタル面とも関連して治療継続やQOLに影響を及ぼすことがありますが、週1回の全身温熱療法の継続ががん患者さんの自律神経機能を向上させ、腫瘍免疫にも影響を与えることで、がん治療のサポートになる可能性が改めて示唆されました。