日本ハイパーサーミア学会 第36回大会の紹介ページです。学会活動コラムを掲載しています。

 

更新日:2019.09.11

日本ハイパーサーミア学会 第36回大会

2019年9月6-7日、埼玉県川越市のウェスタ川越にて日本ハイパーサーミア学会 第36回大会が開催され、奴久妻智代子が参加しました。

今年のテーマは『エビデンスに基づく温熱療法へ』

日本ハイパーサーミア学会は、局所温熱療法、全身温熱療法のいずれもがその研究対象であり、臨床報告の他に生物学、工学分野での報告も多く、基礎的な研究の進展も目を見張るものがあります。

臨床分野では、化学療法に温熱療法を併用することで、がん周囲の血流を亢進して抗がん剤のデリバリーをスムーズにし、また局所での抗がん剤の反応性を上げて、低用量でもその対がん効果を低下させることなく副作用を軽くするというメリットが、改めて報告されました。
さらに一部の抗がん剤では、低用量で使用することで免疫を活性化させる作用を示すものもあるとのことで、低用量化学療法と温熱療法の組み合わせには大変期待が持てますが、患者さんお一人おひとり効果や副作用にはそれぞれ大きな差がありますので、丁寧な経過観察が必要であろうと思います。

また放射線療法では、温熱療法を併用することで照射線量の低減が可能で、正常組織に対しては照射による副作用を軽減することで、患者さんの予後向上に寄与することも報告されました。

急性増悪期でなければ、一般的に温熱には炎症を抑える作用が認められており、一方腫瘍免疫の抑制がある場合にはそれを解除する作用もみられます。長期にわたって温熱治療を受けて来られた患者さんの免疫能が疲弊しにくいのは、療法による温熱作用と末梢循環亢進作用に加え、温熱治療の積み重ねによる多くの調整作用が発現している可能性が考えられます。

さいごに

今年の大会は“小江戸”と呼ばれる川越での開催でした。
江戸の時代、日本にはすでに銭湯があり、当時からお風呂文化は庶民の間にしっかり根付いていました。

温熱療法の中でも特に全身温熱療法は伝統療法の部類に属する療法とする見方も依然ありますが、同じ方向を目指す施設同士エビデンスを共有し合いながら、サポート治療の基本として根を張っていければと考えています。