第84回 日本温泉気候物理医学会総会の紹介ページです。学会活動コラムを掲載しています。

 

更新日:2019.05.24

第84回 日本温泉気候物理医学会総会

2019年5月18~19日、岡山コンベンションセンターにて、第84回 日本温泉気候物理医学会総会・学術集会が開催され、研究開発担当の奴久妻 智代子が発表しました。

演題:反復重炭酸泉温浴が冷えの改善にもたらす効果

温泉療法の効果を家庭入浴に応用すべく開発された錠剤型中性重炭酸イオン入浴剤を用いて、通年性に冷えを自覚する女性19名を対象に3ヵ月間の重炭酸泉による家庭入浴にご協力頂き、介入前後に実施した身体検査や血液検査、アンケート等の結果から、重炭酸泉温浴の繰り返しによる冷えの改善効果を検証したところ、有意な冷えの改善が観察されました。

炭酸ガス(CO₂)の経皮吸収がeNOSのリン酸化を介したNO産生により血流を亢進することはよく知られており、これまで人工炭酸泉製造装置の開発により多くのエビデンスも報告されています。
今回用いた重炭酸泉も、クエン酸と炭酸水素ナトリウムの反応により炭酸ガスを生じますが、生じた炭酸ガスは中性領域の浴水中で速やかに水素イオンと重炭酸イオンに解離するため、実際測定してみても炭酸ガス濃度としてはきわめて低い状態で、高濃度炭酸泉とは明らかに組成が異なる浴水ということになります。
しかしながら、このように炭酸ガスが低濃度であっても、さら湯より(場合によっては炭酸ガスより)はるかに高い深部体温上昇がみられることから、一連の化学反応により生じた塩やイオンが互いに作用する等、炭酸ガスとは別の機序で血流促進作用と保温作用がもたらされたものと推測されます。

今後化学的な検証が進められればと思います。