ハイパーサーミアと免疫チェックポイント阻害剤の紹介ページです。スタッフコラムを掲載しています。

 

更新日:2020.12.29

ハイパーサーミアと免疫チェックポイント阻害剤

がん細胞は、免疫チェックポイント分子の発現により免疫回避を図ることで、リンパ球の攻撃を逃れて生き延びようとしますが、免疫チェックポイント阻害剤はその免疫チェックポイント分子やそれに対応するリガンドに結合することで免疫抑制を解除し、抗がん効果を示します。
ところが、免疫チェックポイント阻害剤の奏功率は20-30%といわれ、奏効率を上げるためにさまざまな増強方法の研究が進められています。その一つとして、温熱療法が注目に値する、というレビューをご紹介します。

腫瘍微小環境を標的としたハイパーサーミアは免疫チェックポイント阻害剤を促進する

Hyperthermia Targeting the Tumor Microenvironment Facilitates Immune Checkpoint Inhibitors.
Front Immunol. 2020 Nov 9;11:595207. doi: 10.3389/fimmu.2020.595207.
Li Z, Deng J, Sun J, Ma Y.
(PMID: 3324028

要約

免疫チェックポイント阻害剤(ICI)は、がん治療の新時代を切り開きましたが、すべてのがん患者さんに有効というわけでなく、ある選択的な患者さんにのみ有効であり、その有効性は腫瘍の微小環境と密接に関係しています。

これまで、発熱は免疫応答を直接制御すると考えられてきましたが、ハイパーサーミアによる人為的な「発熱」は、ヒートショック蛋白質(HSP)によるシグナル提供とその後の免疫系の活性化によって、腫瘍の免疫微小環境を変調させることがわかってきました。

ハイパーサーミアとICIの組み合わせによる相乗効果の可能性に焦点を当てたプレクリニカル研究では、有望な結果が得られています。

本レビューでは、ハイパーサーミアががんを防御できる治療法であるだけでなく、ICIを増強するI型腫瘍微小環境(PD-L1の過剰発現と腫瘍浸潤リンパ球の濃縮)を作り出す治療法である可能性を示します。

次に、ハイパーサーミアとICIを含む併用レジメンの最近のプレクリニカル研究をレビューし、併用効果をさらに高める可能性を検討します。

*現在の臨床現場で一般的に使用されている温熱療法レジメンを、ICI治療に対してどのように使用すべきか、またどのような結果が得られるかどうか、今後の新しい臨床研究に期待したい。(一部本文より)