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更新日:2020.11.11

コロナ禍のうつ対策に温浴を

過去のコラム『お風呂(HSP入浴法)で防ぐコロナ感染とコロナうつ(伊藤要子先生のzoomセミナーより)』https://thermo-cc.com/column/doctor/330/で、温浴がうつ病対策にも有効であることに触れましたが、温泉療法の本場、ドイツでも、うつ病と温浴についてのパイロット試験が行われています。論文をご紹介します。

うつ病による障害を有する患者に対する温熱浴のうつ病、睡眠、及び心拍変動に対する効果:無作為化臨床パイロット試験

Naumann J et al.
Effects of hyperthermic baths on depression, sleep and heart rate variability in patients with depressive disorder: a randomized clinical pilot trial.
BMC Complement Altern Med. 2017 Mar28;17[1]:172.
doi: 10.1186/s12906-017-1676-5.

要約

● 背景
うつ病治療の進歩にもかかわらず、うつ病患者の3分の1は従来の抗うつ薬にあまり反応しないため、副作用が少なく、より効果的な治療法が求められている。本研究の主な目的は、温熱浴がうつ病による障害を有する成人患者の抑うつ症状を軽減するかどうかを評価することである。

● 方法
ランダム化、2群プラセボ対照にて8週間のパイロット試験を実施した。17項目のハミルトンうつ病尺度(HAM-D)スコアが18以上の中等度の抑うつ状態を示し、医学的にうつ病による一定の障害が確認された外来患者を対象に、週2回の温熱浴(40℃)を4週間実施する群と、4週間後にグリーンライトを点灯して追跡調査を行うプラセボの介入群に無作為に割り付けた。

※温熱浴について:40℃の湯に浸かる形で行われ、すべての入浴は午後(14:00-18:00)に実施された。入浴は参加者の不快感に注意しながら30分を目標に行った。入浴後すぐに湯たんぽ2本(腹部、太もも)と暖かい毛布で体を被い、仰臥位にて30分間体温を維持した。この方法により、1.7℃の体温上昇が期待できる。

主なアウトカムの指標は、ベースライン(T0)から2週間後の時点(T1)までのHAM-Dトータルスコアの変化とした。

● 結果
合計36人の患者を無作為に、温熱浴群 17名とプラセボ群 19名に割り付けた。治療意図解析の結果、温熱浴4回介入(T1)後のHAM-Dスコアの変化は3.14ポイントで、温熱浴群はプラセボ群と比較して有意な差(P = 0.037)を示し、温熱浴群の有効性が認められた。

● 結論
温熱浴治療のうつ病による障害への影響を検証するためには、さらに厳密に計画された臨床試験での評価が必要であるが、このパイロット研究は、温熱浴がうつ病患者に一般的な有効性を持つ可能性を示唆している。