COVID-19と発熱療法の紹介ページです。スタッフコラムを掲載しています。

 

更新日:2020.08.12

COVID-19と発熱療法

新型感染症の終息を迎えられないままお盆休みに突入した今年の夏、人が新型コロナウイルスの好適宿主である以上、人が動けばウイルスもそれについてあちこち回るのでしょうか。


日々注意していても感染してしまったとき、なにより急激な重症化は避けたいものですが、テキサスの病院では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化を防止する目的で、患者さんを人工的に発熱状態にする研究が始まっています※。

※Bonfanti N. et al., Core warming of coronavirus disease 2019 (COVID-19) patients undergoing mechanical ventilation – a protocol for a randomized controlled pilot study. medRxiv 2020. Doi: https://doi.org/10.1101/2020.04.03.20052001.


発熱がCOVID-19の重症化リスクを下げ、患者さんの予後に貢献するのではないかという仮説は、以下のような過去の症例や研究結果に基づいています。

・ICUで治療中の感染患者さんの中で、初期に高い発熱を示した患者さんでは死亡率が低い
・熱が免疫細胞の機能を増強する
・熱が病原体の増殖を阻害する
・熱は微生物に対する薬剤の活性を増強する
・熱によって発現するHSPはストレスから体を防御する
・ある種の感染症では、解熱剤で発熱を抑えると回復が遅れる


この研究では、42℃の加温デバイスで体の内側から加温することで、患者さんのコア温度を39℃までの自然な発熱範囲に72時間維持しています。
ウイルス感染初期に通常みられる3日間発熱が続く状態を、人工的に再現するのです。


高温の熱の力や誘導電界を用いてがんやウイルス感染細胞を壊死させる、いわゆる局所のハイパーサーミアとは違って、この人工的な発熱療法は、マイルドな発熱をきっかけにして起こる全身の様々な作用が一斉に体を守る方向にはたらくとみているようです。


発熱は生体防御の基本です。
発熱をタイミングよく治療に活かすことができれば、より自然に近い形で重症化を阻止することができるのかもしれません。
研究結果を注視していきたいと思います。