全身温熱療法についての紹介ページです。ソアラシステムや、温浴の利点、全身温熱療法の起源、その他の温熱療法との比較などを掲載しています。

 

全身温熱療法とは

誤差±0.1℃でコントロールすることで深部体温を精密に管理する体温連動型 全身温熱療法 (ソアラシステム)の誕生

ヨーロッパや日本で古来より健康長寿をもたらすものとして人々に受け継がれてきた温浴の温熱効果や末梢循環亢進作用が見直され、10年を超える機器開発と基礎実験の歴史の中で、2002年、温浴の基本的な要素はそのままに新たな技術を加えて、深部体温の制御性、効率性、および安全性に優れ、個々の患者に応じた加温プログラミングが可能な装置として、介護用特殊浴槽に温調ユニットとコンピュータ等を組み込み、温水の温度を±0.1℃の誤差でコントロールすることで深部体温を精密に管理する深部体温制御装置(ソアラシステム)が開発されました(*1)。
基礎研究での安全性と効果の検討を行ってきましたが、過去8年間に渡りがん中心に約330名の患者様に対して延べ4000回を超える施術を実施しましたが、重篤な副作用の報告はなく、とても安全性の高い全身温熱療法の誕生となりました(*2)。

1:奴久妻智代子、福田智信、渥美和彦:臨床現場における高精度体温制御装置を用いた全身加温の検討. 医療機器学. 2013, Vol. 83, No. 3, p. 66-72.

2:まれに血中酸素分圧の上昇や末梢組織血流量の増加による手足のしびれ、過換気によるテタニー症状、脳内の血管拡張などによる頭痛が起きる場合がありますが、これらの症状の多くは体温の下降とともに解消されます。

なぜ温水を用いるのか

水の熱伝導率は空気の約25倍であり、生体への熱エネルギー媒体として温水はきわめて効率的な体温上昇をもたらします。さらに温水には、加温が均一で火傷や褥創の危険性がない、水圧による下肢ポンプ作用、浮力に伴う体重軽減作用等の特徴があり、特に日本人には親しみのある全身加温の方法でもあります。

温浴の利点

  • 湯温の精密なコントロールにより正確な深部体温のプログラミングが可能である。
  • 熱伝導率が高いため(空気の約25倍)、短時間で目標体温まで到達できる。
  • 加温が均一で火傷や褥瘡の危険性がない。
  • 浮力に伴う体重軽減作用により、筋肉の緊張が緩和され、柔軟性を回復する。
  • 静水圧による下肢ポンプ作用の亢進が、末梢循環を改善する。
  • 発汗に伴い、老廃物の皮膚からの直接排泄を促進する。
  • 身体への侵襲性が低く、治療温度での長時間の維持が可能である。
  • 特に私たち日本人にとっては、慣れ親しんだ温浴方式が治療の心理的負担を軽減する。

体温連動型 全身温熱療法の作用と安全性については、医療機器学雑誌に報告されています。
(奴久妻ら:臨床現場における高精度体温制御装置を用いた全身加温の検討、医療機器学、Vol.83、No.3、2013年)

温熱療法の起源

“発熱”が基本的な生体防御反応であることは経験的に広く知られていました。発熱は紀元前3000年のはるか昔から、腫瘍や感染症など様々な病気に対して、熱を臨床の場に利用する試みは行われてきたのです。
エジプトでは紀元前2600年頃、「外科手術の父」と呼ばれた Imhotep が、腫瘍を外科的に切除する前に患者を発熱に晒し、免疫増強を図ったといわれます。医学の祖と呼ばれるギリシアの Hippocrates(紀元前460? – 377?) は、病気に対する熱の効能を見抜き、「熱を生み出す力を与え賜え。さすればすべての病を治しましょうぞ」という言葉を遺し、熱の治癒効果を確信していました。
1927年には、オーストリアの臨床医 Wagner-Jauregg J. が、スピロヘータ属の細菌であるトレポネーマ感染による神経梅毒により麻痺性認知症を発症した症例に対し、マラリア予防接種の治療的価値を実証したことで、ノーベル医学生理学賞を受賞し、体内に熱を発生させる発熱療法が一躍脚光を浴びます(*3)。

3:Wagner-Jauregg J. The treatment of general paresis by inoculation of malaria. J Nerv Ment Dis. 1922, Vol. 55, p. 369-375.

全身温熱療法と局所温熱療法

温熱療法は、がんやその近くを温める方法(局所温熱療法)と、全身を加温する方法(全身温熱療法)があります。確実に全身の体温を上げるために、赤外線、マイクロ波、ラジオ波、超音波、そして血液を加温してから体内に戻す体外循環等、種々の方法が試行されてきました。
赤外線は皮膚表面への温熱作用は高いものの熱の深達度が低く、マイクロ波は水分量の多い深部組織を温めますが温度調節が難しく、ラジオ波は出力と加温部の温度調整条件が課題であり、超音波は深達度が高く生体深部の加温には適しているものの骨や腔内ガスによる反射が大きく使用範囲は限られ、体外循環は体外で温めた血液がダメージを受けやすいため、いずれも深部体温を治療温度まで安全に誘導し、一定時間維持するのは容易ではありませんでした(*4)。

4:渥美和彦、菊地眞、福田智信::温熱療法の現在(鼎談). 医工学治療. 2013, Vol 25, No. 2, p. 92-99.

体温連動型 全身温熱療法(ソアラシステム)

温水を用いて表面温度だけではなく深部体温(カラダ芯部の体温)を加温する治療法です。

温め方

深部体温制御装置(ソアラシステム)を採用。
温水を±0.1度の誤差でコントロールし全身を加温します。
深部体温を持続的にモニターしながらフルコンピュータ制御で加温し、約1時間で+2度の体温上昇を達成します。

特徴
  • いずれのかん種にも適用が可能です。(ただし、脳幹部に腫瘍がある方では目標体温まで加温できないことがあります。)
  • 温水には、加温が均一で火傷や褥創の危険性がありません。
  • 他の治療との併用でそれぞれの治療効果の増強が期待できます。
  • 治療回数や頻度は患者様の状況に応じたスケジュールを組むことができます。
  • 身体への侵襲性が低く、治療温度での長時間の維持が可能です。
  • 特に私たち日本人にとっては、慣れ親しんだ温浴方式が治療の心理的負担を軽減してくれる効果もあります。
  • 深部体温を約2度上げることで、代謝や免疫を増強し、体内環境を整えて、がんが増殖しにくい身体をつくることを目指します。
副作用について

重篤な副作用の報告はありませんが、まれに血中酸素分圧の上昇や末梢組織血流量の増加による手足のしびれ、過換気によるテタニー症状、脳内の血管拡張などによる頭痛が起きる場合があります。これらの症状の多くは体温の下降とともに解消されます。

  • 熱傷(火傷)・痛み
    温水を用いるので熱傷や疼痛はありません。湯温は42℃を超えない設定になっています。
  • 熱中症、脱水症状
    治療中は大量の汗をかきますが、治療中に水分を摂取することが可能なので熱中症、脱水症状の危険際は極めて低いと言えます。水分の摂取や頭部冷却はクリニックスタッフがサポートいたします。
治療が受けられない方

自力で来院できる体力があれば基本的にどなたでも治療を受けることができますが、てんかん発作や熱性けいれんの既往がある方、出血がある方、急性期の方などは、医師の診察により受けられない場合があります。

当院の体温連動型 温熱療法以外に、他の医療機関にて下記のような温熱療法もございます。

サーモトロン(局所温熱療法)

電磁波を用いてがん細胞だけを選択的に加熱し破壊する治療法です。

温め方

8MHzのラジオ波(RF Radio Frequency)を採用。
患部(がん)を中心に2つの電極で身体を挟み、電磁波によって生体の極性分子(+と-)が1秒間に800万回振動させた摩擦運動によって発熱が起こり、患部を中心に温めていきます。

特徴
  • 脳と眼以外の殆どの部位に適用が可能です。
  • 浅部から深部まで病巣の深さに合わせ、選択的に治療がおこなえます。
  • 他の治療との併用で、それぞれの治療効果の増強が期待できます。
  • ハイパーサーミアは疼痛緩和に効果があり、患者様のQOL(生活の質)の向上が期待できます。
  • 治療回数に制限なく施行できます。
  • 一部に健康保険が適用されます。
副作用について
  • 熱傷(火傷)
    治療部位の皮膚に熱傷(火傷)ができたり、皮下脂肪の多い方は皮膚や皮下脂肪に熱傷による脂肪結節を生じることがあります。
  • 疼痛・皮膚異常知覚
    治療中にピリピリとした痛みや熱感が出現し、照射出力が制限されることがあります。特に脂肪組織の厚い部位では痛みが強くなる傾向があります。痛みと治療効果に関連性はありません。
  • 熱中症・脱水症状
    照射部位によっては患部だけでなく全身の温度が上がり大量の汗をかくことで、熱中症や脱水症状を誘発することがあります。
  • 倦怠感
    温度を上げる治療なので、微熱の後の気だるさ感や筋肉のこわばりが出ることがあります。
治療が受けられない方
  • 治療の出来ない方:ペースメーカーを装着している人
  • 治療に注意を要する方:治療部位近くに金属物のある人。

三井式温熱治療器(局所温熱療法)

温灸器を用い、皮膚を通して注熱する治療法です。

温め方

ハンディタイプの電熱機器を使用。発熱板表面にはセラミックコーティングが施され、そこから放射される遠赤外線により皮膚表面を直接加温します。基本的には脊柱部位、背部筋を温め、ケースにより腹部や胸部を中心とする体の各部位、また症状の出ている部位など、全身のバランスを考えた注熱作業を行います。

特徴
  • 医師の関与がなく、ご自宅で手軽にできる温熱セルフケアです。
  • 体の状態に合わせ、42℃から86℃まで5段階の中から温度設定が選べます。
  • 時には心地よく、時には声をあげるほどの熱さを伴います。(この熱痛覚が自律神経を刺激するといわれています。)
  • 患者様のQOL(生活の質)の向上が期待できます。
  • 治療回数に制限なく施行できます。
  • 治療院での施術時間は3~4時間です。
副作用について
  • 熱傷(火傷)
    治療部位の皮膚に熱傷(火傷)を生じることがあります。
治療が受けられない方

特にありません。

出典:三井温熱株式会社様ホームページ